先咲き梅花











「隊長ー」
恋次は机に向かって仕事をしている白哉の背中に声をかけた。
返事は、ない。
外は、雲一つない青い空。晴れている。
こんなに良い天気なのに、と恋次はぼやいた。
「・・・散歩に行きたいのか」
白哉はやっと口を開いた。
「仕様のない奴だ。・・・終ったのか」
「!あ、はい!今日の分は」
恋次はやっと外へ出れる、と嬉しがった。
其の様子を見やり、白哉は気付かれぬよう、ふと微笑んだ。





「――――っ寒!!」
外に出た瞬間、恋次は叫んだ。
室が暖かかった所為か、外が寒い所為か。
結構な温度差に身体を震わせる。
「馬鹿者。何も羽織っていないからだろう」
「だって、晴れてますし・・・暖かそうだったんで・・・」
流石に最近は暖かくなって来たものの、まだ春にもなっていない。
「だからと言って、本当に暖かいかは判らないだろう」




・・・・・・そりゃそーだ。





恋次は頭を軽く掻きながら頭の中で呟いた。



ふと、背中にばさりと黒っぽい羽織が掛けられた。
「たっ、隊長?!」
驚き、白哉を振り返った。
「寒いのだろう?」
「そっ、そりゃそうですけど!隊長は・・・」
そこで言葉を詰まらせた。
よく見やれば、白哉も同じようなものを羽織っていたからだ。
「行くぞ」
少々呆気に取られている恋次に声をかけた。
「あっ、ちょ、待ってくださいよ!!」
慌てて其の背中を追いかけた。
羽織った其れが、暖かい。









小さな莟を付け、後数日で咲くだろう。
梅の木が、其処にはあった。
「莟が・・・ついてますね」
丁度、額の辺りに位置する木の枝を触れる。
「・・・ねえ、隊長」
恋次は少し離れたところに立ってい白哉を見た。
そして、何時もの笑顔を浮かべて

「今度は満開の時にでも来ましょうよ」

白哉は何一つ表情を変えなかった。
何一つ、彼は言葉も発しなかった。
恋次はまた表情を戻すと、梅の木を見た。
はぁ、と息をつくと白く舞い上がった。
白い其れを目線で追って、消えたところで止めた。
その先には一つ、早くも咲いてしまった花。
淡い桃色、もしくは白。
恋次より背の高い場所に咲いた其れ。
指先でふと触れてみた。


「満開時・・・。何時になるかな」
「・・・ええ。でも、もうすぐですよ」

白哉は何時の間にか恋次の隣に立っていた。
そして、同じ花を見ていた。

「・・・独り先に咲くとはな」
「・・・・・・・・・え?」

理解できず、白哉の顔を見た。
白哉は何でもない、と一言放った。
ふ、と静かに笑った。
(あ、笑った・・・・)
物珍しそうに白哉を見る。

「恋次。次に来る時は・・・――――――。」
「・・・・・・、・・・ハイ!」

恋次は一瞬驚いたような顔をした。
次の瞬間には、嬉しそうに笑っていた。








fin.


















オマケ






「ああ、そうだ」
「え?何スか?」
「先はああ言ったが・・・其の時は書類が全て終ってから・・・だな」
「い゛っ・・・・・・;;」



『今日の分は終えた』とは確かに言ったが、昨日の分も残っている。
これから更に増えるかもしれない、等と思えば、気が重くなる。

恋次は苦笑し、白哉に気付かれないように溜息をついた。








 


白恋とは言えないような白恋。
梅の花・・・満開な処を見たいです(笑

ちなみに、バックは梅なのか桜なのか何なのか・・・
わたしは無知な所為か、わかりません(苦笑