桜の花が、一面に満ちた。

あっちを見ても、こっちを見ても、桜、桜。

そっちを見ても、どっちを見ても、淡い桃色。

ひらひらひらひら、花弁が落ちる。




桜。咲く。






「うわぁ・・・・・」

雛森が目を輝かせた。

「綺麗ね」

乱菊がほうっ、と息を吐きながら云った。

大きな桜の木の下に、死神たちは居た。

「例年にも増して、綺麗ですね。」

阿散井が、目を細めて笑った。

「・・・・・そうだな」

白哉が、ふっと笑った。誰も、気づかなかった。

「え、何か仰いました、隊長?」

「・・・何もないが」

そうですか、と小首を傾げ、また桜を見上げた。



今日は、花見。

淡い桃色に、黒い集団。

少々合わないやも知れぬが、面々は充分に楽しんでいる。

「おーい、恋次。酒運ぶの手伝え!!」

これは檜佐木。

恋次は慌てて酒を運び始めた。

雛森はその様子をくすくすと笑ってみていた。

日番谷は少々呆れながら、遠い方向を見ていた。

藍染は相変わらず温和な笑みを浮かべている。

吉良は阿散井のあと、檜佐木に声を掛けられ慌てて手伝い始めた。



去年は、こんなにも美しく桜は咲いていなかった。

一昨年は、こんなにも人々で賑わってはいなかった。

その前は? それよりももっと前は?

もう覚えていない。

目の前にあるその雰囲気に、隠れている。



ほう、と誰かが息をついた。



「隊長、早く来て下さいよー」

阿散井がほろ酔い風味に白哉を呼んだ。

日番谷は目の前に出された酒を、如何したものかと困惑している。

藍染は日番谷を見ながら、にこにこしている。

雛森は吉良と楽しそうに話し続ける。

その内、乱菊も交じって笑い合う。



これほど楽しいものだったのか。



そう改めて考えさせられたのは、言うまでも無い。





総隊長は、酒を飲みつつ・・・完全に酔っていた。

市丸は相変わらず笑みを絶やさず、全員の様子を見ている。

更木は誰かと一戦、交えたいと云っている。

苦笑を浮かべた浮竹は酔った部下たちに絡まれているように見える。



年に一度の、一度きりの行事。

各隊がこうして集まり、こんなにも明るい雰囲気で。

誰かが云った。



生前に、戻ったような気がする と。



生前の事などとうの昔に忘れた。

否、生前など無かった輩も居るのかもしれない。

それでも、こんなにも楽しいことを出来るのは、此処に居る全員が、今この場に居るからかもしれない。



感謝しよう。

誰かに何をいきなり、と聞かれるかもしれない。

それでも、感謝したい。














「ありがとう。」

君たち皆が、この場にいてくれて。














end.


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誰の視線かなんて、わかりません。
誰の視線でもないかも知れません。
私ですらも判らないのですから。

・・・・・・意味不明ー。



という訳で、花見です。
5月に入っちゃいましたが。
一度は書いて見たかった物です。
これは長く生きている人たちにしか出来ないと思っていたので。
なので、死神さんでやってます。


花見行きたいー。
地元は未だ桜も咲いてません。

躑躅は咲いてますが。(聞いてない