回って、回って、また一周。
周って、周った、その時間。
何時までどこまでその時に
いつもどこかで会えるから。
回って、周って、また次へ。
マワッテ、マワッテ。
「ゆーた、ゆーた!」
一週間前も、その前の週の丁度今日も。
「・・・よく来ますね。」
呆れるほどに決まってやってくる。
「ゆーたの為だったら、何回でも来るよ」
大切な恋人だから。
金髪の彼はそう続けた。
「ジローさん・・・」
『ゆーた』と呼ばれた少年は、ほんのりと頬を紅く染めた。
『ジロー』と呼ばれた少年は、自分よりいくらか身長の高い恋人を強く抱きしめた。
その光景も、もう周りの人から見れば見慣れた光景。
少なからず、一度は溜息をつく。
「だからっ、ジローさん!ここは寮の前なんですっ!!」
顔を真っ赤にさせて、自分から引き剥がそうとするが剥れない。
「おぅおぅ、ゆーた。愛されてるだーね」
「くすくす。」
「柳沢先輩っ、木更津先輩ッ!!そんな事言ってないで何とかしてください!!」
「Zzz・・・」
何時の間にか自分に体重をかけて眠るジロー。
「ジローさんも!寝てないで起きてください!!」
「んふっ、裕太君。中に入れてあげなさい」
「観月さん・・・!!」
観月と呼ばれた少年は、笑っているようで笑っていない笑顔を浮かべ、ジローを見る。
明らかに、ジローの事を敵視している。
その表情に、裕太に悪寒が走った。
ここ数週間、何時まで続くのかと思う程その光景が見られる。
毎週金曜日に、ルドルフ寮の前を通ると見られるその光景。
いつまで周っているのだろうか。
連絡さえすれば、いつでも会えると言うのに。
週って、週って、一週間。
回って、周って、また今度。
周って、周って、また一週。
来週の今日も、また会いましょう。