「一年の癖に出張ってんじゃねーよ!」
「なんでてめーが、入部したばっかなてめーが・・・!」
二人目なんてもう既に言葉になっていない。
たぶん、『何でエースなんだよ!』と続くだろう。
そっくりそのまま、その後に続くだろう。
あろう事か、相手の先輩は、殴りかかってきた。
殴られる事を予期し、思わずぎゅっと目を閉じた。
直後、
「やめれば?」
声がした。
気のせいではない。
薄っすらと目を開けた。
後ほんの2,3秒で殴っていたであろうその拳は止まり、男は違う方向を見ていた。
(・・・誰?)
「相手、年下じゃないっすか。コーハイイジメってやつ?」
けらけらと笑うその声は、どこかで聞いた事がある。
「あんだてめぇ・・・」
「おっと、やめてもらえませんかねぇ。俺だって大会出場停止になるの嫌だし・・・
何より、真田副部長が何言うかわかりませんし!ってか殴られるし!」
またけらけらと笑い出した。
二人の男は、呆気に取られていた。
そして、
「・・・真田?」
「真田って・・・あの?」
「立海大・・・付属・・・」
「へぇ、あんた等でさえ知ってんだ?よわっちいクセにさ」
立海大・・・あぁ、そうかと思い出す。
よくよく考えればこの声は・・・
「あんだと!ヤる気か!」
「や、止めとけって!」
一人が完全にぶち切れ、もう一人が必死に押さえる。
「あぁ・・・、ヤるんならテニスでね。」
「こ、こんな奴に勝てる訳ねぇだろ!不二だって苦戦・・・」
「ちっ・・・!」
「こいつ・・・、切原って奴だ!」
(うん、そう。切原さん。あんたらじゃ、適わないよ)
例え二人でかかっても。
心の中でそう考える。
確かに、彼らの今の腕では勝てない。
(第一、自分に負けてる。)
「ねぇ、じゃああんた達、さっさとどっか消えてよ。俺、そいつに話あるんだし。」
そう言うと、彼らはそそくさとその場を逃げていった。
これからの部活がちょっと心配だ。
「ねぇ、何?」
「あ?何が?」
何の事、とでも言いたそうな顔。
自分の方が呆れてしまう。
「・・・さっきあんた、言ってたじゃん。俺に話があるって。」
「ん?あー・・・そう言えば言ってたっけ、そんな事。」
またあのけらけらとした笑い方。
そして、隣に座る。
「いやー、去年の事思い出しちゃってさー。」
「は?」
「俺も、言われたんすよ。」
でしゃばるなって。
そう続けた。
「越前よりはるかに酷かったんだぜ?」
悪戯っぽく笑って見せた。
だが、
「・・・そんなに辛かったんすか?」
その笑顔はどこかかなり、哀しそうだった。
「・・・・・・まぁな。」
そう言って、苦笑した。
「・・・何があったの」
「お前に言う必要はねぇ。」
「ある。」
「ない」
「あるったらある」
「ないったらない!」
「あるー」
「ないー」
「ない」
「・・・ある!ってオイ!」
「ほら、言ってみなよ」
アホか・・・と盛大に溜息をつく。
しかし、単純なものに引っ掛かってしまったのは自分だ。
自分の単純さにも盛大にもう一つ、溜息をついた。
「何溜息ばっかついてんのさ、切原さん。」
「別に・・・。」
切原はしょうがない、と言わんばかりに話し始めた。
「俺さ、今のお前と同じような目っていうかそれ以上の目に合った。」
「何ソレ。何されたの」
切原は、一瞬躊躇った。
そして、
「・・・犯された」
「・・・・・・・・・・・・・はあ?男でしょ?」
「煩ぇ・・・」
切原は思い出してしまった過去に溜息。
「じゃあ、あんた処女じゃない訳?」
さらに、こんなことを言う越前を目を見開いて見る。
「ふーん・・・残念」
「アホか!」
どういう意味で取ったのかは分らないが、切原は顔を真っ赤にする。
「何真っ赤になってんのさ。」
呆れているのか楽しんでいるのか分らない表情で切原を見る。
「てめっ・・・!」
「まぁ、いいや。それより、アリガト。」
越前がゆっくりと立ち上がる。
その際に、軽く触れるようなキスを唇にする。
そして、
「柔らかい」
越前が言って、切原は何が起こったか分らなかった。
「分ってないみたいだから言うけど、あんたに一目惚れ、したっぽい。」
今度は越前が悪戯っぽく笑った。
「え。あ、ぃう・・・?え、ぉ?」
「・・・・・・何意味不明な言葉発してんの。もっかいキス、するよ?
立海大付属中の二年エースさん?」
「へ?き・・・キス・・・、って、えぇっ?えっと・・・、k,a,s,sとかいてキス?」
「k,i,s,sね。『a』じゃないよ。もっと英語ベンキョーしたら?」
切原はぐっとつまる。
「ぜってーお前の事越えてやる!」
「やってみれば?」
くすり、と笑う。
「・・・!!青学の、一年エース!ぜってー越えてやる!」
「やってみなよ。」
そう言うと、また触れるだけのキスをした。
それは、ある日。
二年エースと、一年エースが偶然出会った。
それぞれがわかれた後、両者共に顔を赤くしていたのは
誰が知っていようか?
01.『一年エースと二年エース』
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意味不明な感じで。
王子がどうも・・・;
プラウザバックプリーズ。(棒読み)