夢を見るとか見ないとか。
人の勝手だよね。
俺だってさ、キミに会うまで夢なんて
見てもいなかった。
寝る時に見る夢じゃなくてね。
寝てなくても見れる夢。
つまり、将来とか。
俺だってさ、キミに会うまで・・・。




一緒に居る事で生まれたモノ





「深司くーん」
にっこりと笑って手を振りながら歩いてきた橙色の髪の毛の彼は
度々此処、不動峰中学校までやってくる。
それは、そこのテニス部の彼に会うために。
それはもう、何度も何度も。飽きないのかと思うほど。
1週間に2度は来ている。
それでも少ないと橙の彼は言う。
でも、不動峰の彼らは飽きもせずよく来るものだ。
そう言う。
「また来たんですか・・・」
伊武は溜息をつきながら言った。
「だってー。彼氏として送り迎え(送る事は出来ないけど;)は当り前でしょ?」
そしていつも通り伊武の裏拳が飛ぶ。
神尾は伊武の横で苦笑しながらそれを見ている。


そんなことが、いつも通りの光景。
ちなみに、千石の言葉はいつも一字一句も違ってなどいない。
「相変わらず伊武君は強いねぇ」
千石はにへら、と笑いながら言った。
恐ろしいもので、伊武の裏拳にだいぶ慣れたようだ。
「千石さん、よく来ますねぇ・・・」
神尾が何気なく言った。
「いやぁ・・・部活引退しちゃうとどうしてもやる事が無くってねぇ。」
またへら、と笑った。
「・・・受験は大丈夫なんですか・・・」
伊武は軽く睨みながら言った。
「あー、その質問はですねー、山吹はエスカレーターだから」
だから大丈夫だよ、と言いた気ににっこりと笑った。
神尾が良いなーと叫ぶ。と同時に伊武は両手で耳を塞ぐ。
千石は伊武の様子に苦笑した。
そして、思い立った。
「神尾くん、深司くん、山吹受けない?」
「「・・・・・・はい?」」
「ほら、大学までエスカレーターだし。」
にこっと笑って楽しそうに言う。
「・・・残念ですが・・・」
全く全然残念そうな素振りなど見せずに伊武が言った。
「そっかぁ・・・ざんねーん・・・」
千石は本当に残念そうにへこたれた。
シュンとしおれて、そのままになった。
「・・・神尾、いこっか・・・」
「はっ!?イイの!?」
伊武はギロと神尾を睨んだ。
その目は有無を言わさぬ目だった。
「・・・ゴメンなさい」
神尾は何気なく謝ってしまう。
そして歩き出そうとした。
「って、俺を置いてく気ぃ!?」
そこで一気に復活した千石。
伊武は舌打をして、神尾は舌打の音にギョッとした。
千石は気付いてなどいないようだった。


結局、三人で帰路に着いた。


「じゃ、俺こっちなんで!」
神尾は調子良さそうに交差点で別れた。
千石は伊武の隣でひらひらと手を振っている。
一通り見送ると、腕ごとだらん、と下に垂らす。
「んじゃ、いこっかー。」
にこっと笑って伊武の手を取る。
伊武は驚いたが、その手を離させることはしなかった。
その手のぬくもりを感じながら、千石の隣を歩いた。


暫らく歩いていて、風が少し強くなった。
キィ、キィと公園でブランコが揺れている音がする。
伊武はその公園の前で立ち止まった。
千石はすぐに気付き、どうしたのと訊いた。
今度は伊武が千石の前を歩き、暫らく歩いてブランコに座った。
その隣の空いているブランコに、千石も座る。
「・・・千石さんは、将来とか決めてるんですか?」
不意に伊武が訊いてきた。
「んん?あー・・・将来ねぇ・・・」
千石が曖昧な答えをした事で、まだなんだ、と決め付けた。
「・・・・・・」
伊武はかくんと首を下に向けた。
「えええぇぇ??」
千石は伊武の行動に慌て始めた。
何があったのか良くわかっていないからだ。
とりあえず自分を落ち着かせた。
「あー・・・えとね、俺は・・」
伊武は一瞬ふと顔をあげた。
千石に気付かれないうちに、すぐに下に向けたが。
「俺は、深司くんと一緒に住めるようになりたいなぁ」
「・・・・・・はぁ?!」
薄暗くてよくは見えないが、真顔でいっているのであろう。
「うん。深司くんに会ってからそういうふうに思うの強くなってさぁー」
真顔で言ってるだろうと思うと、顔が熱くなる。
「夢かぁ〜・・・」
千石は呟いた。
伊武は改めて千石を見る。
そして、首を傾げた。
「・・・なんで俺と住みたいんですか・・・?」
「んー、だって、いつも一緒に入れるでしょ?それに、深司君の手作り料理ー・・・」
千石はのんびりといった。
伊武は空中をみて、夫婦じゃないのに・・・と思い、溜息をついた。
「夫婦じゃないんだから・・・って言いたい?」
にっこりと笑って考えていた事をずばりと言われて目を丸くした。
「うん、でもね。俺は深司君のこと好きだから、夫婦でもいいかな」
伊武はさらに丸くしていた目を丸くした。
そして、一瞬にして顔を真っ赤に染め上げた。
薄暗いせいか、千石には気付かれていないようだった。
「深司君は、どう思う?」
にこぉ、と笑ってそう訊いてきた。
「え・・・どう思うって・・・?」
「あー、っとね。俺らが一緒に住む〜ってこと」
「・・・別に・・・」
伊武は顔を紅くして俯きながら言った。
「もー、別にじゃわかんないでしょー?俺のことだから、いいっていう意味で取っちゃうよ?」
千石は冗談交じりで言った。
のはずだったが。
「・・・いいですよ、別に・・・」
言った。
「・・・えーーー!マジッ!?」
千石は目を見開いて言った。



「んじゃ、そろそろいこっか。」
千石はしばらくしてからそう切り出した。
それまでの間、二人して何か考えていたようで無言のままだった。
気づけば、何時の間にか空は黒い。
ところどころに小さかったり大きかったりする星が見える。
「あー・・・もうこんな暗いんですか・・・」
伊武はブランコから立ち上がった。
千石もそれを見てから立ち上がった。
そして、一緒に公園を出て行った。

「ねえ、深司くん。さっきの、ホント?」
千石はわくわくしているのか、はきはきと聞いてくる。
「・・・ホント以外に何があるんですか・・」
伊武は軽く睨んでそう言った。
「じゃぁ、高校でたら一緒に住もう!うぁー、楽しみだなぁ!」
勝手に夢を見ている千石に、伊武は少々呆れて溜息をついた。
何処のアパート借りよっかーなどと訊いているのか訊いていないのかわからない。
そういえば、と伊武は思う。
「・・・それって、夢でいいんですか・・・?」






まだまだ言ってない事、たくさんあるけれど。
それは全部、君に会えたから生まれたんだ。
思いも、願いも、夢も、全部。
ダラダラ生きてたんじゃ意味が無い。
誰かのために働いて、
誰かのために何かを生み出す。
そうしてもっと 生きていくんだよね。
君と会えて良かったよ。
夢が生まれた。
もうダラダラなんて、生きてられない。
君とずっと、一緒に居る限りはね!




End。







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あー・・・意味不明すんまそん。
いつも通りなんで、またも見逃してやってください。
今度はもっともっとマシな物を書くように努力します。
だから見のg(以下略)