「ほら、深司くん。これ、あげるよ。」
「え・・・でも・・・こんないいもの・・・」
「見た目によらず、価値は安いんだから。」
「・・・・・・ありがとうございます」
「俺と、おそろだよ。」


『お揃いだね』



Where're you・・・?





思い出したくない。思い出したい。

頭が痛くて、これ以上考えると壊れてしまいそうで。
思い出したくない。


でも、千石の事を思い出せるのなら
思い出したい。


ズキ

痛い。

「千、石さ・・・っ!」
痛さからなのか、それとも悔しさからなのか。
涙が溢れ出した。

千石の前から居なくならないといけない気がして。
何かに操られているような気がして。
自分の身体が他の、自分以外の人の体のような気がして。
「いゃっ・・・!」
ぼろぼろと、涙が零れ落ちる。
何が聞こえるでもないが、耳を塞いだ。

そして、はっとする。

携帯を取り出した。









それからは、深司から何も連絡は来なかった。
探し回ったが、どこにも見つからず、一度家に帰ることにした。
家に帰ると、深司からの電話があったらしい。
゛泊めて頂き、ありがとうございました゛と。

「どーいう事・・・?」
無理矢理聞き出すわけにもいかず、自分の部屋のベッドに倒れこんだ。
わけのわからないまま、疲れきっていた所為か、眠気に勝てずに眠り込んだ。





今、深司は千石に案内してもらった自分の家に居た。
ベッドに横になっている。

深司は嫌だった。
思い出す事が。思い出せない事が。
千石のことを想っていた事は、確かな筈だ。
そうでなければ、ここまで想うことはない。
その気持ちも、思い出したくなくて、思い出したい。
思い出せない。


深司の手は携帯を取り、文字を打つ。
そして、メールを送信する事無く、また手放す。

立ち上がり、机の傍に行く。
何を思ったのか、まだ使っていない真新しいノートを手に取った。

そして、文章を書き出す。
思ったほどに良く動く手は、次々と文章を作っていった。
日記のような物を、今日会った出来事をそれに書いていった。

一通り書き終えたら、手を止め、再びベッドまで歩いた。


そして、枕を抱くようにして寝た。





暫らく後、

千石もまた、携帯を手にとってはまた手放すという行動を繰り返していた。

もしかすると、深司からメールもしくは電話が来るかも知れない。


知らぬ内に、千石はベッドに横たわったまま、眠りへとついていた。




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