気付いたらもう朝。
ベッドの上で上半身を起こし、伸びる。
そして、隣にいる記憶を失くしてしまった愛しい人を見る。
穏やかな寝息を立てて、眠っている。
まだ、起こす訳にはいかない。
ほら、もう少しだけ・・・
だから俺も、もう少しだけ寝ていよう。
Where're you・・・?
数時間前に目を覚ましてから、次に目が覚めたのは日が昇った頃。
横に寝ているはずの深司の身体が、ない。
慌てて辺りを見渡した。
「・・・どこ、見てるの?」
真後ろには、くすくすと笑いながら話し掛ける深司の姿があった。
「・・・・・・・吃驚した〜・・・」
にかっと笑い、冷静を取り戻した。
「今日は、どこいこうか。」
「千石さんが、決めてください」
服装を着替え、街の方へと自然に歩き出す。
「ん〜・・・・・・・あ、あそことか入ってみない?」
そう言って千石が指差したのは、ガラス店。
外から見ても判るほど、ガラス製の物が多く置いてあった。
「良いですよ。」
そう一言言うと、嬉しそうに深司の腕を引張り店へと入っていく。
中には、とても言葉では言い尽くせないほど綺麗なそれがあった。
外からの光と店の中の人口で作られた光できらきらと光っている。
それらを一つ一つ丁寧に手に取り、その形を手でなぞる。
「・・・・・・綺麗・・・・・・」
「でしょ?どれか気に入ったのある?」
深司が小さく呟いたのに千石が嬉しそうに応える。
「え・・ッと・・・・これ・・・」
そう言って深司が手にしたのは、本当に小さなガラスダマ。
ビー球とは違い、所々角張っていて、小さい穴が一つ開いている。
首飾りか何かにできそうだ。
薄く、青色に色がついている。
千石は深司が手に取ったそれと同じ形で色違いの、ガラスダマを取った。
「じゃ、貸して?」
「・・・・・・へ?」
貸して、という言葉とは裏腹に深司の手から勝手に取っていく。
唖然としている深司をよそに、千石はそれをレジへ持っていく。
「ありがとうございましたー。」
店員の声が響き、二人はその店から出た。
「はい、コレね。」
そう言って、先ほどまでは売り物だったそれを渡す。
深司は差し出された千石の手を見て、戸惑った。
頼んでもいないのに、勝手に買ってしまったから。
「でも・・その・・・」
悪いですよ。
そう言うと、千石は苦笑し、深司の腕を取って掌にそれをのせて、握らせた。
かさ、と音がする。
「ほら、君の物だよ?」
にっこりと笑う。
「あ、あとね・・これこれ。」
そう言って次に取り出したのは、細い紐。
紐というのか、よくその辺で売られている安い首飾りのあれ。
それも、さきほどの店で買った物だ。
「これを、さっきのガラスダマに通しちゃえば・・・」
言いながら、自分のガラスダマの小さな穴に通す。
「んで・・、こーして・・・・。よし!できた!!」
そう言って、深司の目の前で見せる。
綺麗なガラスダマの首飾りになった。
「ほら、深司君もやってみなよ!」
千石はそれを自分の首にかけた。
深司にも、早くやってみてと急かす。
あまりにも子供っぽくて、深司の顔の筋肉が緩んだ。
「おそろいだね。」
「あ・・・はい。ありがとうございます。」
深司は千石が買ったガラスダマを紐に通し、千石と同じく首にかけている。
千石ガラスダマはほんの少しだけ黄色がかっている。
深司のそれは、薄い青色がついていて、ヒカリが当るとキラ、と光る。
不意に、千石の言葉が頭の中を過ぎる。
『おそろいだね。』
ズキッ
「・・・・・・ッ!?」
頭が、痛い。
「深司君!?どしたの?」
大丈夫、と心配そうに聞いてくる。
前にも一度、否。何回か聞いた事がある。
「・・・だい、じょうぶです。」
「そぅ・・?」
必死になって、千石の心配を消そうとする。
ズキッ
どこだろう。
どこで聞いたのだろう。
それさえ思い出せば・・・
(千石さんの、事・・・?)
「・・・・・・ッ、千石さん!ごめんなさッ・・・」
「え!?」
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