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初めて見た時、一瞬で君に惚れたんだ。
ほら、凄く綺麗で、俺から見たらそこら辺にはいないような美人さんで。
だから、君に告白して。

恋人同士と言う関係になったのに。






Where're you・・・?







「千石先輩、最近元気ないですよ〜・・・。」
部活にでている壇が、心配そうに室町に言う。
「・・・そうだな。」
素っ気無く返事を返すが、心配していないと言う事は無い。
寧ろ、心配しすぎている。
部活の太陽的存在でもある千石が、元気が失くなかなか出て来なくなった。



あんなに、楽しそうに笑っていたのに。



最近の千石の笑みは、あまりに元気がない。
落ち込んでいるのに、ムリしてまで笑っている。
そんな微笑み。

そんなのは、見ている方が辛いに決まっている。


「決めたです!!ボク、千石先輩と一緒に伊武さんといるです!」
いきなり壇がそう叫び、周囲を驚かせた。
一番驚いたのは、傍にいた室町だ。
「壇・・・?」
「ボク、〇〇病院まで行って来るです!!」
「ちょッ・・・待てって!!」
ガッという音が鳴りそうな勢いで、慌てて室町は壇の肩を抑える。
「ここは、千石さんに任せて置こう。・・・その方が、記憶が戻り易いかもしれない。」
「・・・・・・・・・はいです。」
壇は、しょぼんと肩を落とした。







同時刻。
「ほら、深司君。ここが、君の学校だよ。」
千石は、1時間ほど前に退院した深司を不動峰へと案内していた。
深司は千石の言葉に耳を傾けながら、きょろきょろと辺りを見回す。
初めて来たかのように。
千石が初めて不動峰に来た時と同じように、深司を案内した。

部活中である不動峰のテニスコートに行った。
深司はあんなに好きだったテニスをやっていたことも、忘れていた。
神尾と橘は病院で会っていたから知っていたが、他のメンバーの事は思い出せなかった。


「ねぇ、千石さん。深司、これからホントに何も思い出せないのかな・・・。」
神尾が、悲しそうに深司には聞こえないように言った。
「大丈夫。絶対に全部思い出すから。だから・・・」
そこまで言って、千石は口を閉じた。
神尾も、言われなくてもわかったので何も言いはしなかった。





帰り道。

今の深司にとっては初めての。
千石にとってが何度目かの共にする帰り。
お互い、会話もせずに歩く。
やがて、深司が口を開いた。
「千石さん・・・今日、」
「・・・あぁ、そっか。俺ん家に来る?俺の父さんも母さんも姉貴も、喜ぶよ」
「・・・すみません・・・」
深司は俯きながら、礼を述べる。
「あ・・・そうだ。深司君、明日何か用はある?」
「明日、ですか?えっと・・・特には・・・」
「そっか。じゃぁさ、一緒にどっか遊びにいこっか!」
今日、初めて見せる本当の笑顔。
それなのに、何度か見たことのあるような、そんな笑顔。
胸のどこかが、少しだけ温かくなった。




「あら、深司くん!久しぶり。元気だった?」
千石の家に入った途端に、コレ。
千石の母親は、妙に明るい声で。
やはり覚えてはいないはずなのに、どこかで見た事のあるような感じ。
「母さん。」
「あ・・・ごめんなさい。今すぐ夕食の準備するわね。」
そう言って、千石の母親はその場から姿を消す。
千石は溜息をつき、深司に顔を向け、にこっと笑った。





夜。全員が寝静まってしまったころ。
「・・・・・・・・・・千石さん・・・・・・」
深司は、眠れずに布団の中にいた。
何時間も、この状態でいる。
何時間経ったかは、もう既にわからない。
ただ、同じ人の名前を呟いている。
何故かは、深司自身にもわかりはしない。
深司は、この部屋に一人だけでいた。
家が広い所為か、部屋が一つ余っていたらしい。
泊まらせてもらう度に、この部屋にいたと言う。

ギィ・・・

部屋の扉が、静かに開く音がした。
「深司君・・・起きてる?」
千石だ。
深司はすっと身体を起こす。
「千石さん・・・?」
「よかった・・・まだ起きてたんだね。」
暗闇の向こうから聞こえる声は、妙にか細いものだった。
「・・・?」
千石の気配が、深司に近づいた。
近くまで来て、お互いがやっと見えるようになった。
千石は深司の隣にそっと座る。
「どうしても、寝付けなくてさ。」
「・・・・・・」
はは、と笑う。
「・・・・・・俺も、です・・・」
「・・・・そっか・・・。まだ慣れないよねェ・・・。ホント、明日が休みで良かったよ・・・」
そうじゃなくて。
そう言おうと思ったが、言葉にならない。

「あ、の・・・一緒にいてもらっても、いいですか・・・?」
深司が、千石の着てるパジャマを軽く掴んで言った。
千石はフッと微笑んだ。


「俺も、それ言いたかった。」


そう言って、千石は深司の体を、優しく包み込んだ。
「・・・ありがとう、ございます。」

深司はそう呟いて、千石の腕の中で目を閉じた。
何とも心地良い暖かさが、そこにあった。



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